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  近畿地方のスミレ類

  スミレ類の分布について、近畿地方は、種類数・量的にも恵まれた地域とはいえませんが、位置
  的に北は日本海、南は太平洋に面し、各側を特徴づける種類を共有すること、東からの分布と西
  からの分布が重なり合う場所でもあること等により、近畿2府5県には、変種のランクまで含めて
  41種類(※1)のスミレ類が分布しています。近畿地方に分布するこれらのスミレ類を類似した
  分布形態をもとにグループ分けすると、以下の7形態(※2)にまとめられます。

  (画像の上をクリックすると大きく表示されます)

 1.普遍分布型
  (1)タチツボスミレ  (2)ナガバノタチツボスミレ  (3)ニョイスミレ
  (4)アギスミレ    (5)スミレ          (6)シハイスミレ(葉黒型もある)

  近畿地方全域に普遍的に分布するグループで、スミレを除いては市街地や海浜には少ないものの、
    ほぼあらゆる環境に適応しています。

  タチツボスミレ(大阪府)  ナガバノタチツボスミレ(兵庫県)  ニョイスミレ(兵庫県) 
       タチツボスミレ(大阪府)    ナガバノタチツボスミレ(兵庫県)    ニョイスミレ(兵庫県)

  スミレ(マンジュリカ、大阪府)  シハイスミレ(京都府)  ハグロ シハイスミレ(京都府)
    スミレ(マンジュリカ・大阪府)     シハイスミレ(京都府)        シハイスミレ(葉黒型・京都府)


 2.海岸分布型
  (7)アツバスミレ     (8)イソスミレ      (9)アナマスミレ      

  イシスミレ(京都府)   アナマスミレ(京都府)
     イソスミレ(京都府)      アナマスミレ(京都府)


 3.人里・市街地分布型
  (10)アリアケスミレ (11)ヒメスミレ  (12)ノジスミレ   (13)コスミレ


   市街地、平野部・丘陵の農耕地、墓地、寺社境内、里山等の人為的環境に適応したグループで、
   人間の生活圏の拡大とともに、より周辺部へ、逆に、人里から市街地へと進出していっています。

  アリアケスミレ(大阪府)  ヒメスミレ(奈良県)
     アリアケスミレ(大阪府)         ヒメスミレ(奈良県)

   ノジスミレ8大阪府)   コスミレ(奈良県)
      ノジスミレ(大阪府)                    コスミレ(奈良県)             


 4.渓流・谷沿いの湿潤地分布型
  (14)ヒメアギスミレ       (15)コミヤマスミレ      (16)ケイリュウタチツボスミレ

  ヒメアギスミレ(三重県)  コミヤマスミレ(奈良県)  ケイリュウタチツボスミレ(兵庫県)
     ヒメアギスミレ(三重県)       コミヤマスミレ(奈良県)     ケイリュウタチツボスミレ(兵庫県)


 5.山地草原分布型
    (17)ニオイタチツボスミレ     (18)フモトスミレ       (19)サクラスミレ       (20)ヒゴスミレ
    (21)アカネスミレ          (22)ホコバスミレ       (23)ホソバシロスミレ

  次項の山地分布型のうち、本来の生育環境としての落葉広葉樹林から草原に進出している種類を
  まとめてグループにしたもので、定期的な山焼きなどにより、灌木の混じるススキ草原が人為的
  に維持されている環境に適応しています。

     ニオイタチツボ(奈良県)  フモトスミレ(和歌山県)  サクラスミレ(兵庫県) 
   ニオイタチツボスミレ(奈良県)   フモトスミレ(和歌山県)      サクラスミレ(兵庫県)

   ヒゴスミレ(大阪府)   アカネスミレ(奈良県)   ホソバシロスミレ(奈良県) 
       ヒゴスミレ(大阪府)       アカネスミレ(奈良県)         ホソバシロスミレ(奈良県)


 6.山地分布型
   (24)マルバスミレ      (25)ナガバノスミレサイシン    (26)エイザンスミレ     (27)ヒナスミレ
   (28)アオイスミレ       (29)アケボノスミレ          (30)イブキスミレ      (31)マキノスミレ
   (32)スミレサイシン     (33)オオタチツボスミレ         (34)ニホンカイタチツボスミレ(仮称)
   (35)オオバキスミレ    (36)ナガハシスミレ          (37)ヒメミヤマスミレ

   (38)ホコバスミレ          

  このグループのほとんどは、本来、落葉広葉樹林に自生するものであるが、エイザンスミレ・ヒナ
  スミレ・アオイスミレ・マルバスミレなど近畿地方では、スギ・ヒノキ植林に適応している
  ものが多い。また、日本海側に分布する種類以外、関東地方では普通に見られるものでも、
  近畿では分布がまれな種類が含まれています。

  エイザンスミレ(奈良県) ヒナスミレ(奈良県) アオイスミレ(三重県)
   エイザンスミレ(奈良県)    ヒナスミレ(奈良県)     アオイスミレ(三重県)

  アケボノスミレ(兵庫県) イブキスミレ(滋賀県) オオタチツボスミレ(兵庫県)
    アケボノスミレ(兵庫県)      イブキスミレ(滋賀県)     オオタチツボスミレ(兵庫県) 

   日本海タチツボスミレ(仮称・滋賀県) オオバキスミレ(滋賀県) ナガハシスミレ(京都府)
 
ニホンカイタチツボスミレ(仮称・滋賀県)   オオバキスミレ(滋賀県)   ナガハシスミレ(京都府)

   ヒメミヤマ(三重県) ホコバスミレ大阪府)
   ヒメミヤマスミレ(三重県) ホコバスミレ(大阪府)



 7.冷温帯山岳分布型
     39)トウカイスミレ(仮称)     (40)シコクスミレ     (41)キバナノコマノツメ
   (
42)エゾノタチツボスミレ       (43)ツルタチツボスミレ


   ヒメミヤマスミレ(奈良県)  シコクスミレ(奈良県)  エゾノタチツボスミレ(滋賀県)
   トウカイスミレ(仮称、奈良県)        シコクスミレ(奈良県)        エゾノタチツボスミレ(滋賀県)

   キバナノコマノツメ(奈良県)  ツルタチツボスミレ(滋賀県)
     キバナノコマノツメ(奈良県)        ツルタチツボスミレ(滋賀県)


  8.その他(自然交雑種)

     ホソバキリガミネスミレ(ホソバシロスミレXスミレ、和歌山県)   アルガスミレ(サクラスミレXスミレ)   ハリマスミレ(スミレXアリアケスミレ・大阪府)
    ホソバキリガミネスミレ(和歌山県)   アルガスミレ(奈良県)        ハリマスミレ(大阪府)
        (ホソバシロスミレxスミレ)      (スミレxサクラスミレ)        (スミレXアリアケスミレ)

  オオタチツボスミレXニョイスミレ(兵庫県)  カツラギスミレ(ヒゴスミレXシハイスミレ、大阪府)
   オオタチツボスミレXニョイスミレ   ホウフスミレ(和歌山県)     カツラギスミレ(大阪府)
           (兵庫県)           (スミレxシハイスミレ)     (ヒゴスミレXシハイスミレ)

     タナオスミレ(フモトスミレXヒゴスミレ)  スズキスミレ(ヒゴスミレXホコバスミレ型、和歌山県) 東海ミヤマスミレXフモトスミレ(奈良県)
   タナオスミレ(フモトスミレXヒゴスミレ)       スズキスミレ        トウカイスミレxフモトスミレ 
        (和歌山県)            (ヒゴスミレxホコバスミレ型)      (仮称・奈良県)
                          (和歌山県)

     コマガタケスミレ(フモトスミレxスミレ)    ウスゲスミレ(ニオイタチツボスミレxナガバノタチツボスミレ)
 コマガタケスミレ(フモトスミレ×スミレ)         ウスゲスミレ
       (和歌山県)          (ニオイタチツボ×ナガバノタチツボスミレ)
                                 (和歌山県)


           この他、25種の自然交雑種を記録しています。



     ※ 1  ヒカゲスミレとタチスミレについては奈良県で過去に記録されていますが、現在まで
             未確認のため、本リストに含めていません。テリハタチツボスミレは滋賀県に隣接する
             若狭地方の低山で見られますが、近畿地方には含まれていないため、本リストにはあげ
             ていません。また、市街地などで外来種や栽培種の逸出品が環境に適応して野生化して
             いることがありますが、これらについては省略しました。
     ※ 2 ここでいう分布型については各種類の近畿地方での分布の状況をもとに、便宜上、グル
             ープ分けしたものであり、日本全土的な視野に立った分布型を示すものではありません。
     ※ 3 スミレ類
の中で、単に「スミレ」という名の種が存在するため、この種だけを指す場合には、
             学名からの「マンジュリカ」をとって、カッコ書きで表現することが一般的です。
     ※ 4 ヒゴスミレの学名だけは品種のランクになっていますが、一般に適用しているために敢え
             て使用しました。
     ※ 5 ヒメミヤマスミレとされているものの中には複数の型が含まれていて、母種のフモトスミレ
             に近いタイプが基準とされています。このタイプのものは太平洋側の照葉樹林帯を中心
             に、四国・九州南部にまで分布し、近畿地方においても、紀伊半島の南部の低山に分布
             しています。また、太平洋側のブナ帯に分布するものも、従来、ヒメミヤマスミレとされて
             きましたが、昨今は別種と考えられ、この分類が見直されつつあります。現在もその扱い
             については研究者により見解の相違があるため、今後の分類上の扱いに注目しています。

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